バンデットQ 21/12/4

おそらく劇場公開以来の観賞となる。いくつかの印象的な場面は鮮明に覚えているが、細かいディティールはかなり曖昧である。なんといっても30年前の映画だ。初見のような気持ちで観ることとなった。

いくつかの時代、歴史的な出来事、小人たち、少年…そうだこんな感じだったよと思い出す。時空を超えた泥棒の騒動と、それに巻き込まれた少年のお話なのである。はっきり覚えていたのはアガムメノン王に扮するショーンコネリーである。公開時、ショーン・コネリーはもう007のイメージから完全に脱却できていたように思う。劇場で彼の姿を見られるというのも、当時の楽しみだった。

小人たちは本当に個性的で、何かこう…体にハンディキャップがあるように見えない。体が小さいことが、この映画では単なる個性のように見える。これも映画の魔法なのだろうか。

時空を超えて、神も悪魔もジョークの種になる。こういう映画はあまりお目にかかれない。

ラストのショーン・コネリーのウィンクがキュートであった。

ロマンシング・ストーン 21/12/2

Amazonプライムでロマンシング・ストーンを観る。劇場公開された時観に行って、その後テレビ放映で、もしかしたら観ていたかもしれない。前からウォッチリストに入りっぱなしになっていた。

この映画で印象に残っていたのが、キャスリーン・ターナーの表情の変化だった。物語の冒頭ではいかにも地味で冴えない感じである。それがどうだろう。恋と冒険は女性を美しくする。マイケル・ダグラスと出会って、命懸けの冒険を続けるうちに、どんどん表情が変わってくる。

俳優だから当たり前ではあるが、最初と最後でがらりと顔つきが変わること、これも映画の魔法なのである。同じ時期のインディージョーンズと比べると、やや見せ場の作り込み感は違うが、こちらは文字通り「ロマンシング」が重要なテーマなのではなかろうか。冒険活劇のように見えて、実は大人のためのロマンチックなお伽話である。

キャスリーン・ターナーは現在、すっかりお姿が変わってしまったらしい。この映画のファンとしては、少し複雑な気持ちである。

シンドバッド七回目の航海 21/11/23

何を観ようか迷って、何故かシンドバッドを観る。

イギリスに行った時、映画博物館のようなところでハリーハウゼンの回顧展のような催しがあった。撮影に使用された人形(と言って良いのか)は思っていたより少し大きかった記憶がある。

もう随分昔の映画ではあるが、デジタル合成のなかった時代に「一体これはどうやった撮影したのか?」という驚きがあったり、今観ても純粋に映画として面白いのである。

シンドバッドと骸骨兵士の戦いを観ていると、どういう段取りで合成したのか不思議で仕方がない。

今やこういったジャンルのお話は、映像の世界では残っていても、活字の世界では絶滅寸前なのではないかと思うのだ。ハヤカワ文庫では、まだヒロイックファンタジーというか、剣と魔法の世界を描いた作品はあるようだ。でも僕らが子供の頃読んでいた作品群の雰囲気とは違う。

E・R・バローズの小説を読みたくなった。

レディ・ガイ 21/11/21

公開時に観逃していたレディ・ガイを観る。
シガニー・ウィーバーが出ていることと、大まかなあらすじだけを知っていた。できれば劇場で観たかったのだが、時間が合わなかったのか観ることができなかった作品である。

思っていたよりアクション場面、というかガンファイトの部分は少なかった。シガニー・ウィーバーが扮する、主人公に手術を行った医者の告白、こちらに結構なウェイトがある感じがした。結構語るのね…という感じ。

男性の時のミシェル・ロドリゲス
女性の時の心は男のミシェルロドリゲス

の演じ分けも、この映画のキモである。
映画としてはすごく面白いという作品ではないのだが、シガニー・ウィーバーとミシェルロドリゲスのもつ演技の説得力が、この映画に不思議な魅力を与えている気がする。

日本一の色男 21/11/19

金曜日、時間ができたので「日本一の色男」を観る。

少し前に「日本一のゴマすり男」を観たのだが、「色男」の方が作品としては古いようである。

基本的には同じフォーマットなんである。無責任でC調のサラリーマンが活躍する、ある種の御伽噺である。前作の趣向は「ゴマすり」だったが、今作は「モテ」だ。

植木等演じる「光等(ひかるひとし)」は調子が良くて全然信用ならない感じなのだが、行きあたりばったりの行動が逆に好まれるのか。とにかくモテる。

植木等の歌や踊りは他に類のない独自性があるのでは…と思ったり。

脇役でクレージーキャッツのメンバーも出演していた。週末の夜にのんびり観るには最高の映画であった。

NOMOS 猿と呼ばれし者たち 21/11/14

やっと少しだけ安心して映画館に行けるようになった。
前から気になっていたNOMOSを観に行く。

もう少し想像を絶する風景を見られると思ったが、期待まで届かず。
でも強く印象に残る映画である。

年端も行かない若者達が、無軌道に狂ってゆく感じがなんとも切ない。組織化されたゲリラのようでいて、実はそうではない。場当たり的に進んでゆくので、最後に待っているのは破綻だけである。

怖いのは銃では無く、大自然の闇である。

9人の翻訳家 21/11/12

なにを観ようか迷っているうちに、ネットフリックスで発見する。
そういえばこれは観逃していた映画だったと思い出す。

大枠のディティールしか把握していなかったのだが、場面が進むにつれて「ああこれは好きなタイプの映画だ」と感じることとなった。

映像の肌触りというか、感触が好きな感じなのである。

とはいえ、途中微妙に納得できない展開もあった。
「オリエント急行の犯人は誰か?」というすごく良い台詞が印象的だったので、もう少しそこを活かして欲しかったなぁ…などと考える。

オルガ・キュリレンコ、久しぶりに観た。

テリーギリアムのドン・キホーテ以来だろうか。

日本一のゴマすり男 21/11/8

Amazonにクレージーキャッツの映画が大量にリリースされている。

いつもDVDを買い揃え得るべきか迷うのだが、しばらくはAmazonでレンタルすることに。

基本的には日本無責任時代と同じく、スーダラサラリーマンの出世物語である。

今作のテーマは「ゴマすり」。植木等扮する「中等」という主人公は、出世のために徹底的にゴマをする。係長に、課長に、部長に、とりあえず目に入った偉い人には、次から次へとゴマをするのだ。当然周りからは調子の良い奴と思われ、出世どころではないのだが。色々あって最後には大逆転、出世もヒロインも手にいれてしまう。

古き良き60年代である。ファッションも車もミッドセンチュリーっぽいインテリアも。植木等の無責任でスーダラでC調な感じ、今となっては同じ国の話とは思えない。

ある種の御伽噺なのではないかと思うのだ。

ブラック・ホール 21/11/5

ディズニープラスに、あのブラックホールが!
というわけで早速観ることに。

冒頭数分間は音楽が流れるだけの「真っ黒」な画面が続き、よくあるWiFiの不具合かと思ったが、そういう物だったらしい。そんなオープニングだったとは全然覚えてない。

観たのは高校の頃だったか。

スターウォーズ以降SF映画がよく作られるようになったが、まだまだ特撮がお粗末な映画が多かった。そんな中ブラックホールはレベルの高い特撮だったように思う。

もう40年以上前に観た映画なので、細かいディティールは全然覚えておらず、初見のような感じで観る。

おお、アンソニー・パーキンス。
おお、アーネスト・ボーグナイン。
のような感じで過ぎてゆく。

宇宙空間の青が、他のSF映画にはない青さだ。
登場するロボット達も可愛らしい。

冒険SFなんだけど、最後は2001年っぽい着地になるのであった。
SF映画に恋焦がれた十代の青春時代が戻ってきた。

似非ホームシアター改造計画

もうずいぶん映画館に出かけていない。仕事も忙しいので家で映画を観る時間もあまりないのだが、少しでもストレスなく映画が見られるよう、ヘッドフォンをワイヤレス化することにした。

まず、長いこと使っていた「学習教材のおまけみたいなチープなヘッドフォン」をやめてBluetooth接続できるヘッドフォンを購入した。JBLのやつである。お値段は非常に安いのだが、今までが酷かったせいか音質はこれで十分という気がする。

僕の部屋の似非ホームシアターはサウンド面は一切お金がかかっていない。まるっきりの手抜きである。ブロジェクター、もしくはMacに直接ヘッドフォンを差し込んでいたのだ。しかしそれだとコードがうっとうしい。なのでヘッドフォンを新しくしたわけだ。

しかしプロジェクターはBluetooth対応してないので、トランスミッターも買うことにした。

イヤフォンジャックに挿して電源を入れると、このデバイスがBluetoorhのトランスミッターとなって音を飛ばしてくれるのだ。若干音にタイムラグがあって、ベースのマルチエフェクターでは使えなかった。自分の弾いた音と聞こえる音が半拍ぐらいずれてしまうのだ。しかし映画を観る分には意外と気にならない。

映画を観るのが少し楽しくなるかもしれぬ。