
海から家にもどる途中で、ジーンはサミーに小さなカメラを渡してくれました。
それはパソコンにつなげられるカメラで、テレビ電話のように相手の顔を見ながら、キーボードを使っておしゃべりができるそうなのです。
ジーンは最近新しいカメラを買ったので、そのカメラはいらなくなったのでした。
さっそくサミーは家に帰ってから、そのカメラをパソコンにつなげてみました。
フロッピーに入っているソフトウェアをインストールすると、カメラはすぐ使えるようになりました。
パソコンのディスプレイにはサミーの顔が映し出されます。
サミーはすっかり面白くなって、カメラに向かっていろいろな顔をしてみました。
しかしよく見ると海で遊んだせいか、毛並みが少々乱れています。
「今日は泳いだから、毛がはねてるなぁ」
サミーはそうつぶやきながら、ブラシを取り出して頭をとかし始めました。
しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ
だんだん毛並みがなめらかになってきました。
「これってすごく便利」と、サミーはすっかり機嫌が良くなりました。
でもそのカメラは、鏡の代わりに使うものではありませんよね。
本当はここでパソコンをインターネットにつなげて、ジーンとお話するはずなのです。
サミーが早くそのことに気付けばよいのですが。
-第13回目を振り返る-
その昔、「Webカメラ」という物が世の中に出始めた頃。まだまだ通信回線が「細かった」ため、今のWeb会議のようにスムーズには会話できませんでした。
それでも遠くの相手とネットを介して会話ができることに、驚きを覚えた記憶があります。定点カメラとして、風景を写すWebサイトが話題になったり…
そんなことからヒントを得て、このお話になったのでしょうね。サミーの使っているカメラは、当時の僕が使っていた物をモデリングしました。
今回のお話は第12回目の後日談となります。
Webカメラで映されたサミーは少しアップになっていますが、別の角度からレンダリングして、ディスプレイに貼り付けました。
サミーは部屋の窓を開けています。
サミーの家はきっと森の木々のそばにあるのだろう、夏の夜で少し涼しい風が入っているに違いない…そんなことを考えながら窓の外の風景をPhotoShopで描き込みました。今改めて見ると、カーテンのテクスチャがうまくフィットしていないなぁ…などと思ったり。
サミーの画像は、LINKSというCGソフトで場面をレンダリングするのですが、PhotoShopでポストプロダクション的にレタッチする時間もかなり長かったと思います。
最近少しずつ、新しいサミーのプロトタイプを作り始めましたが、やはりPhotoShopのウェイトが多くなっています。