
しばらくの間、サミーは海の中で泳いでいました。
ところがふと気付くと、さっきまで後ろを泳いでいたジーンがいないのです。
一足先に水から上がったのでしょうか。
サミーもひと休みすることにして、浜辺に戻りました。
ジーンはさっき使っていたカメラをノートパソコンにつなげて、何かやっています。
サミーがのぞきこむと、ディスプレイの中ではサミーが泳いでいる姿が映し出されているのです。
サミーは一瞬何がどうなっているのか分かりませんでした。
だってビデオはテレビにつないで見るもの….のはずです。
サミーが妙な顔をしているのを察したのか、ジーンが言いました
「これはねぇ、パソコンにつなげるカメラなんだよ」
「それ防水なの?」
「うん、水の中でも大丈夫だよ、ほらちゃんと見えるでしょ」
パソコンのディスプレイの中では、サミーや魚の映像が映っているのですが、自分が泳いでいる姿を見るのはなんだか妙な気持ちでした。
自分ではすいすい泳いでいるつもりだったのに、実はそうでもなかった、とでもいうのでしょうか。
「泳ぎも、もっと練習しなきゃ」とサミーは思いました。
-第11回目を振り返る-
サミーとジーンが海に行くお話。ジーンが使っているビデオカメラやノートパソコンの大きさに時代を感じます。よく見るとノートパソコンの解像度も小さそうですね。
今なら防水ケースにスマホを入れるのでしょうか?過去作のサミーに登場するIT機器を見ていると、時代の流れを強く感じます。
海から上がったサミーは、毛が少し毛羽立っているような表現になりました。これはPhotoshopの「指先ツール」を使って、マウスでカチカチ伸ばすように、はねた毛を表現しています。
1990年代において、3DCGで「毛」を表現するのは難しく、レタッチでそれらしく見せた方が早かったのですのねぇ…そらに浮かぶ雲もマウスで描いた物でした。夏雲ってどういう感じだったろうか、Googleなんてない時代なので、空を見ながらあれこれ試行錯誤していました。