
眠れない夜、サミーは映画館にやって来ました。
特に観たい映画があったわけではないのですが、なんとなく頭の中に映画館が浮かんだのです。
うん、映画館に行ってみよう…
ねずみの森にはいくつか映画館があるのですが、ここはサミーが生まれる前からある古い映画館です。かかっている映画も新作ではなく、ずっと昔の映画ばかり。昼間でもあまりお客さんはいないのですが、夜中ともなると貸し切りのようになってしまいます。
映画館の照明が落ちて暗闇になる瞬間、確かにスクリーンは銀色になります。そんな瞬間がサミーは好きでした。
この映画館の古い匂い、微かに聴こえる映写機の音。
のんびりと映画を観ていると、ちょっと嫌だったことやつまらないことも、どんどん心から消えてゆくような気がします。
鼠生、悪いことばかりじゃないよね。
サミーはポップコーンを食べながら、のんびりと夜を過ごしました。