
店長さんがサミーのパソコンを調べ始めてから1時間がたちました。
しかしあちこち調べてみても、どこが悪いのか全然わかりません。
サミーはだんだん申し訳なくなってきました。
だってほかのお客さんが「すみませーん」と言っても店長さんは「ちょっと待って下さい」と言ったきりで、サミーのパソコンにかかりきりなのです。
「店長さんごめんなさい、やっぱりぼく帰ります」
「いえいえ、私がちゃーんと直してみせます」
もう店長さんは、すっかりむきになってしまったようです。
そのとき、どこかから声が聞こえました。
「ねぇ、そのパソコン直してやってもいいよ」
最初はその声がどこからしているのか分かりませんでした。
サミーと店長さんがきょろきょろしていると、何かがキーボードの横にひゅんっ、と現れたのです。
その声の主は1匹のカエルでした。
「あ、カエルだ」とサミーが叫ぶと、カエルはサミーをじろりと見ました。
「ぼくの名前はナーザビだ、カエルだなんて気安く呼ばないでほしいな」
「ごめんなさいナーザビさん」
「なんだずいぶん素直だね。よし、ぼくがパソコン直してやるよ」
「ほんとですか」
話が変な方向にいきそうなので、店長さんがあわてて割って入りました。
「お客様大変失礼ですが、お客様のお脚におえるようなものでは…..」
「ふーん、じゃぁもしぼくが直せたらあのパソコンくれる?」
カエルは展示してあるパソコンを指差しました。
「いいでしょうとも、差し上げようじゃありませんか」
店長さんも後には引けなくなってしまったようです。
「ふーん、後悔しても知らないよ」カエルは自信満々です。
なんだかみょうなことになってきたようです。
サミーはだんだんどきどきしてきました。
-第16回目を振り返る-
サミーのパソコンを直そうと悪戦苦闘する店長さん。一体サミーがどんなことをやって調子が悪くなったのかは分かりません。パソコンが得意でない人の「何もしてないのに調子が悪くなった」という事態だったのかもしれません。きっと何か良からぬ操作があったのでしょうね。
ここで新しく登場するのがカエルのナーザビです。
メタボールで作ったサミーの形状データを編集して、なんとかカエルっぽくするのに苦労した記憶があります。
どうしてカエルを登場させようとしたのかは、今でも分かりません。連載も15回目を超えてきて、新しいキャラクターを登場させたかったのでしょうか。 ねずみの森のネズミたちは、おっとりした性格が多いので、少しキツ目の登場人物を加えたかったのかな。
ナーザビと店長さんは、ここから犬猿の仲のような関係になります。キャラクターが生まれると勝手にお話が出来上がる、ということはあるようですね。