16.店長ねずみとカエルの賭け

店長さんがサミーのパソコンを調べ始めてから1時間がたちました。
しかしあちこち調べてみても、どこが悪いのか全然わかりません。

サミーはだんだん申し訳なくなってきました。
だってほかのお客さんが「すみませーん」と言っても店長さんは「ちょっと待って下さい」と言ったきりで、サミーのパソコンにかかりきりなのです。

「店長さんごめんなさい、やっぱりぼく帰ります」
「いえいえ、私がちゃーんと直してみせます」

もう店長さんは、すっかりむきになってしまったようです。

そのとき、どこかから声が聞こえました。
「ねぇ、そのパソコン直してやってもいいよ」

最初はその声がどこからしているのか分かりませんでした。
サミーと店長さんがきょろきょろしていると、何かがキーボードの横にひゅんっ、と現れたのです。

その声の主は1匹のカエルでした。

「あ、カエルだ」とサミーが叫ぶと、カエルはサミーをじろりと見ました。
「ぼくの名前はナーザビだ、カエルだなんて気安く呼ばないでほしいな」
「ごめんなさいナーザビさん」
「なんだずいぶん素直だね。よし、ぼくがパソコン直してやるよ」
「ほんとですか」

話が変な方向にいきそうなので、店長さんがあわてて割って入りました。

「お客様大変失礼ですが、お客様のお脚におえるようなものでは…..」
「ふーん、じゃぁもしぼくが直せたらあのパソコンくれる?」
カエルは展示してあるパソコンを指差しました。
「いいでしょうとも、差し上げようじゃありませんか」
店長さんも後には引けなくなってしまったようです。

「ふーん、後悔しても知らないよ」カエルは自信満々です。
なんだかみょうなことになってきたようです。
サミーはだんだんどきどきしてきました。

-第16回目を振り返る-

サミーのパソコンを直そうと悪戦苦闘する店長さん。一体サミーがどんなことをやって調子が悪くなったのかは分かりません。パソコンが得意でない人の「何もしてないのに調子が悪くなった」という事態だったのかもしれません。きっと何か良からぬ操作があったのでしょうね。

ここで新しく登場するのがカエルのナーザビです。

メタボールで作ったサミーの形状データを編集して、なんとかカエルっぽくするのに苦労した記憶があります。

どうしてカエルを登場させようとしたのかは、今でも分かりません。連載も15回目を超えてきて、新しいキャラクターを登場させたかったのでしょうか。 ねずみの森のネズミたちは、おっとりした性格が多いので、少しキツ目の登場人物を加えたかったのかな。

ナーザビと店長さんは、ここから犬猿の仲のような関係になります。キャラクターが生まれると勝手にお話が出来上がる、ということはあるようですね。

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