ねぇサミー、君は一体どこにいるんだい?

ねずみのサミー、プロトタイプ作りは続く。
しかしこれがなかなか遅々として進まない。

大体作業できるのは休日である。FM-WORLDで連載してた頃は、毎日仕事としてサミーの絵を作っていた。日がな一日サミーのことばかり考えていれば良かったのである。今考えるとなんと贅沢なことだろう…

全てゼロからのスタートとなったので、もう一度モデルデータを作り、お話の背景を考えてみる。しかしなかなか気持ちが戻らない。若い頃のような感覚が戻ってこない。心の中の瑞々しさが消えてしまったのかねぇ…などと思ったり。

そうこうしながらも新しいCGソフトで少しずつ風景を作り始める。そして僕は色々なことを思い出すようになった。

ねずみのサミーは最初からかっちりと絵が浮かんで、それに向かって作っていたわけではない。うまく言えないが「サミーと相談しながら作る」ような感じだったのである。

プロトタイプを作りながら僕は「サミー?…君はこの25年間、どこにいたんだい?」と呟いていた。まったく僕を置いてどこに行っていたのか…

その答えの一つがこれであった。

いろんなところ…

とサミーが言ったような気がした。